・・・先週の金曜までイオンシネマで、この作品の特別上映がされていた。
私も、いま一度、この名作を大画面で観た^^
多くの人に見てもらいたいものだが、報告が遅れてしまった・・・。
ともあれ、2007年に記した感想を再掲しておこう^^
◇ ◇ ◇
☆・・・やあ、ミド蘭だよ。
今宵は、久々に美少女を堪能したので、いい酒飲んでるよ。
いや、何の予備知識もなしに、とある娘と急遽映画を観に行くことになり、パッパッと決めたのが、『パンズ・ラビリンス』でした。
これなら、私も女の子も楽しめると思ったのです。
特に、今、名探偵・二階堂蘭子の『悪魔のラビリンス』と言うミステリーを読んでいて、ラビリンスづいていたのだ。
あまり派手じゃないファンタジーの小品だと思って見たのだが、異色ではあるが、堂々とした作品なので驚いた。
物語はこんな感じ・・・。
《1944年のスペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)は、この恐ろしい義父から逃れたいと願うばかり自分の中に新しい世界を創り出す。オフェリアが屋敷の近くに不思議な迷宮を見つけ出して足を踏み入れると、迷宮の守護神が現われ彼女に危険な試練を与える。》
なんと言えばいいのか、このファンタジー色と苛酷な現実のバランスが、大人の目から見ると絶妙なのである。
私は、しかし、現実のパートが苛酷な故に、安易なハッピーエンドは許されないと考えていた。
そしたら、悲しくも見事なエンディングを迎えたので、感心し、感動した。
それについて、これから、見る方もいると思うので、伏せておく^^
配給側は、子供に見に来て欲しいようだが、ちょっときついと思う。
フランコ政権に反抗し、ゲリラ戦を挑む舞台となる村の住人を、主人公・オフェリアの義父となる大尉は虫けらのように殺していく。
さながら、『シンドラーのリスト』の収容所の少尉のようにだ。
そのさまが、更にきつい。
森でウサギ狩りをしていた父子に、ゲリラ容疑をかけた大尉は、その荷物に入っていた酒瓶で、息子の頭部を殴る。
ビンは割れる。
その割れた箇所を、息子の顔面にグサグサ刺す。
「あああ、息子が死んでしまったあ」
と嘆く父親の頭部に銃撃を放つ。
息子の方の頭部にも、とどめとばかりに撃つ。
こんなショッキングなシーンが、冒頭からあるのだ。
子供には見せられない。
もちろん、主人公の母娘は、そこまでもの大尉の残虐性を知らない。
だが、オフェリアが母親に、「なんで、また、結婚したの?」と問いかけるのに対し、「一人は寂しいのよ。あなたも大人になったら分かるわよ」と答えたのに際し、私は、「ああ、これは、大人の物語だ」と思ったのだ。
・・・とにかく、このオフェリア役のイバナ・バケロの魅力全開であった。
それは、子供が見て共感できる少女の姿ではない。
全世界の大人の男が見て、そそる少女の姿なのである。
はじめは内向的な優等生として現われる。
しかし、無頓着な少女らしく、不気味な虫を屈託なく手にする。
白い肌に、大きな瞳、ややカールのかかったおかっぱ髪・・・。
謎の牧神(パン)と出会い、恐怖を感じるでもなく、怯えつつも対応する。
母親に風呂に入ることを促される。
下着になる。
そのささやかな胸のふくらみ・・・。
西洋美少女の定番「エプロンドレス」に身を包む。
そのお人形さんのような美しさ。
しかし、それを脱ぎ捨て、暗色のワンピース下着で、泥地に入る。
粘液ヌラヌラの巨大カエルとの対決。
泥だらけのエプロンドレスでの帰宅。
母親に風呂に入れられる。
泡だらけのお風呂に入る。
母親の難産を助けるために、マンドラゴラのおまじないを実行する子供っぽさ。
ミルクと、少女の血・・・。
ベッドの下にもぐりこむ時の、太ももの華奢なこと!
禁食の間での、子供らしいブドウのつまみ食い。
その目の動き・・・。
禁食の魔人からの必死の逃走・・・。
逃げおおせての息遣い。
・・・こうして挙げていったら、キリがない。
優等生的なオフェリアが、多くの苦難状況に直面しつつも、静かに耐えて、先に進んでいく様は、もう、その筋の者にはたまらないだろう^^;
最後の、大尉に撃たれてからの「力の抜け具合」・・・。
王女復帰時のかかと立ち・・・。
このギレルモ・デル・トロ監督・・・、凄い監督だなあ。
ロリコンとかじゃなくて、「男のたしなみ」として、見事に「少女」を描ききった。
つくづく、少女は「世界遺産」だと思うのだ・・・。
・・・連れの娘は言った。
「予想と違った面白さだったね^^」
私は言った。
「ああ、確かに、予想と違った面白さだった^^」
(2007/10/09)