☆すっかり、王道の物語を撮れるようになったコーエン兄弟監督作である。
かつての、ジョン・ウェイン主演西部劇のオリジナル原作を映画化したとのこと。
・・・父親を殺された娘が、保安官を雇い、インディアン居留地に逃亡した犯人を追う。
犯人には多くの前科があり、それを追い求めていたレンジャーもいた。
三人は、それぞれ譲れないモノ・譲らない性格を持ちつつも、犯人を求め、同行するのだった・・・。
そもそも、西部劇が一時期廃れたのにはマンネリの意味合いがあった。
この作品もけして新鮮な要素があるわけではない。
だが、コーエン兄弟、キッチリと骨太に撮りあげているので、大作の風格だ。
冒頭、連邦保安官ルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)が、その激しい捜査活動を法廷にて糾弾されるのだが、そこで語られるセリフだけの銃撃戦が、観終えて、私、画面上で見たかのような錯覚に陥っている。
そんな、凄い作品だ。
◇
完成度が高いので、あまり語ることもない。
主役の3人の性格が面白かった。
父親を殺された14歳の娘マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)だが、聡明かつ意志の強い娘で、父親を殺された、地元と勝手の違う町で、頭脳を駆使して賠償金を手に入れ、保安官を雇うに動く。
すぐに「訴える」「訴える」と言い、『さよなら 絶望先生』の木村カエレみたいなのだが、
・・・「訴えるよ!」
それが町では機能するものの、一たび町を出れば、全く通用しない無法者の世界であるのに、それでも我の強さだけで乗り越えようとする性格が面白い。
この子、14歳の美少女なのに、作中の悪人たちは、彼女を「ガキ」とか「子供」と言い、一人も彼女を性的対象として見ていないのが、私には非常に健全に感じ、こいつらとは話が合わないなと思うのだった。
ヘイリー・スタインフェルドは、私の趣味の娘ではないが、その目だけは最高に美しかった。
・・・「訴えるよ!」てか「撃つよ!」
保安官ルースター・コグバーンは、一番性格が読みやすそうに見えて、一番分からなかった。
憎まれ口を叩かずにはいられないらしく、さりとて、実はいい人というステロタイプな描き方もされていない。
結構普通に職務を全うする。
と思えば、途中から酔いどれになり、銃の腕前の一番に拘るのだ。
年齢も分からなかった。
60歳超の、引退間際の保安官に思えて、エピローグでは25年後まで生きていることが語られる。
テキサスのレンジャー、ラビーフ(マット・デイモン)も、コミュニケーション能力に欠点がある。
会話がこじれるとすぐにいきり立ち、関係を放棄する。
どうやら、レンジャーとしての誇りは人一倍あるが、他人の誇りを尊重する思いやりがないのだ。
物語的には、三人は最初こそ衝突を繰り返すが、中盤から収まるところに収まるのがセオリーだと思うのだが、なんか、クライマックスの決戦までいがみ合いを繰り広げるので、それが斬新だったかな?
追い求めた犯人チェイニーがチンピラレベルなので、味方の方に強い刺激をおいたほうが物語的に面白いのは確かだ。
物語は、主役の三人の思いのズレで進んでいき、そこがテーマ的なメインなので、
最期の決戦は延々と銃撃戦が続くような戦いではなく、切れ味の良い決闘であった。
三人は、その戦いを通し、お互いを認め合うのだ。
・・・私的には、25年後のエピローグは不要でした。
(2011/07/17)
かつての、ジョン・ウェイン主演西部劇のオリジナル原作を映画化したとのこと。
・・・父親を殺された娘が、保安官を雇い、インディアン居留地に逃亡した犯人を追う。
犯人には多くの前科があり、それを追い求めていたレンジャーもいた。
三人は、それぞれ譲れないモノ・譲らない性格を持ちつつも、犯人を求め、同行するのだった・・・。
そもそも、西部劇が一時期廃れたのにはマンネリの意味合いがあった。
この作品もけして新鮮な要素があるわけではない。
だが、コーエン兄弟、キッチリと骨太に撮りあげているので、大作の風格だ。
冒頭、連邦保安官ルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)が、その激しい捜査活動を法廷にて糾弾されるのだが、そこで語られるセリフだけの銃撃戦が、観終えて、私、画面上で見たかのような錯覚に陥っている。
そんな、凄い作品だ。
◇
完成度が高いので、あまり語ることもない。
主役の3人の性格が面白かった。
父親を殺された14歳の娘マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)だが、聡明かつ意志の強い娘で、父親を殺された、地元と勝手の違う町で、頭脳を駆使して賠償金を手に入れ、保安官を雇うに動く。
すぐに「訴える」「訴える」と言い、『さよなら 絶望先生』の木村カエレみたいなのだが、
・・・「訴えるよ!」
それが町では機能するものの、一たび町を出れば、全く通用しない無法者の世界であるのに、それでも我の強さだけで乗り越えようとする性格が面白い。
この子、14歳の美少女なのに、作中の悪人たちは、彼女を「ガキ」とか「子供」と言い、一人も彼女を性的対象として見ていないのが、私には非常に健全に感じ、こいつらとは話が合わないなと思うのだった。
ヘイリー・スタインフェルドは、私の趣味の娘ではないが、その目だけは最高に美しかった。
・・・「訴えるよ!」てか「撃つよ!」
保安官ルースター・コグバーンは、一番性格が読みやすそうに見えて、一番分からなかった。
憎まれ口を叩かずにはいられないらしく、さりとて、実はいい人というステロタイプな描き方もされていない。
結構普通に職務を全うする。
と思えば、途中から酔いどれになり、銃の腕前の一番に拘るのだ。
年齢も分からなかった。
60歳超の、引退間際の保安官に思えて、エピローグでは25年後まで生きていることが語られる。
テキサスのレンジャー、ラビーフ(マット・デイモン)も、コミュニケーション能力に欠点がある。
会話がこじれるとすぐにいきり立ち、関係を放棄する。
どうやら、レンジャーとしての誇りは人一倍あるが、他人の誇りを尊重する思いやりがないのだ。
物語的には、三人は最初こそ衝突を繰り返すが、中盤から収まるところに収まるのがセオリーだと思うのだが、なんか、クライマックスの決戦までいがみ合いを繰り広げるので、それが斬新だったかな?
追い求めた犯人チェイニーがチンピラレベルなので、味方の方に強い刺激をおいたほうが物語的に面白いのは確かだ。
物語は、主役の三人の思いのズレで進んでいき、そこがテーマ的なメインなので、
最期の決戦は延々と銃撃戦が続くような戦いではなく、切れ味の良い決闘であった。
三人は、その戦いを通し、お互いを認め合うのだ。
・・・私的には、25年後のエピローグは不要でした。
(2011/07/17)