☆・・・あんまし期待していなかったんだけど、う〜ん、私的にはいまいちだった。
物語的に、未来の世界からのび太を幸せにするためにきたドラえもんが、「幸せにするまでは未来に戻れない」と言う条件がインプットされたことによる性格の改変・それに伴う当初の「いやいやながら」設定が、かなり違和感ありだった。
それは、クライマックスの、ドラえもんがのび太との友情を育む中で、のび太を幸せにしたので未来に戻らなくちゃならないというウェット展開に則しての改変なのだが、そのあまりにも結果に従属する経過に鼻白んだ。
そして、のび太の家に住むことなったドラえもんは、各種「秘密道具」で、のび太の生活を助ける様がダイジェスト的に描かれるのだが、そこにおける、秘密道具の使用が、全く駄目だった。
「ドラえもん」は、のび太を助けるべく、未来の秘密道具を使う。
だが、その利便が、のび太のやり過ぎによって暴走し失敗、その様を見て、マンガの読者やらテレビの視聴者が、なにがしかの教訓を得、ひいては、のび太も成長するだろう・・・、と言うのが「ドラえもん」のパターンなのである。
それをただ単に、のび太の生活を安楽にするための秘密道具の使用・・・、のび太をダメにするだけである。
リスクなくば、人は成長しないし、もちろん、幸せにもならない。
物語の展開上、ダイジェストの最後で使用した秘密道具の失敗で、のび太は、自分の変革に目覚めるのだが、それも、物語の収れんへの従属としての失敗であり、翻って、「ドラえもん」の物語性の崩壊を意味する。
故に、入魂の3D映像も、ひどく薄っぺらく感じる。
また、3Dで立体的に・マンガ的リアルに表現された画像は、マンガでは許されたものが、ひどく気持ち悪く感じられる瞬間がある。
のび太が舌を出すシーンが多いのだが、非常に不快である。
雪山で、倒れたのび太が、もう八方ふさがりで、最後の手段として、未来の自分に救出を託すという場面があるが、これもSF的にありでも、成長物語としてはダメダメだ・・・。
しかも、シズカちゃんは、雪山にほっぽらかしだし・・・。
しずかちゃんは可愛いし、出木杉君の立派さだけが際立つ『STAND BY ME ドラえもん』でした。
(2014/08/11)