☆・・・『もういちど』
林家たい平さんの企画で、これまで名人の落語集を数回 映画館で上映していたのだが、今回はオリジナルの映画作品である。
たい平師匠の主演である。
江戸時代、長屋に引っ越してきた落語家崩れの心に傷を負った男が、同じく人生に傷ついた少年に落語を教えることによって、双方、立ち直っていく物語。
これ、ベースは、昔からある物語、『ロッキー』や『ベストキッド』と変わらない構造であり(変わり種としては『4分間のピアニスト』や『受験のシンデレラ』なんかもある)、
見ているこちらは、すぐにのめり込める^^
CG作成と思われる江戸の街なのだが、これが、おそらく安い製作費だろうに、よく出来ている。
『ブレードランナー』ばりに、同じセットの使い回しをしているんだろうけど、なんとも、その空間の描写がうまく、実在の江戸を感じられたような気がした。
登場人物の使い方も、散文的だが、きちっと丁寧に描いているので、クライマックスでは、ホロリと泣かされ感動する。
少年は最後に「時そば」を披露するのだが、もう、私は、見終えて蕎麦が食べたくて食べたくてしょうがなかった。
作中で、たい平師匠が、少年にそばを食べる所作を見せるのだが、「こればかりは、自分なりの食べ方を考えるしかねーよ」とか言う。
落語を披露する場で、少年は、そば食いの所作を見せるのだが、それがたい平さんと全く異なるオリジナリティあふれる食いっぷりで、更に、不味いそばを食う時は、更なるアレンジがされており、私は、感心しつつ、笑った!
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・・・『イントゥ・ザ・ストーム』
古き良き時代のパニック映画を、最新の技術で描いた、なかなかの作品。
難しいのが、これが、怪獣対象ならば、「敵」のなんらかの意志が感じられ、また、それを倒せば、収束するんだろうけど、
相手は、感情なき災厄マシーンであり、倒しても、気象変動によって何度も出現するだろうことが、見ていて、何とも気になってしょうがない。
そんな中で、人間が右往左往するのが、徒労のようにも思える。
だが、少なくとも、「ゴジラ」よりは、人間の災厄への絡ませ方がうまかった。
工場のがれきに閉じ込められる主人公と彼女のタイムリミットあるサスペンス、
竜巻に対し、シェルターでの待機か、スクールバスでの逃走かの、専門家の女性の判断など。
いろんな人物が出てくるが、それぞれ、大竜巻に人生の啓示を受ける。
つまり、成長するのだ(冒険バカは除く。バカは死なななきゃ治らない^^;)。
主人公兄弟と父親がいるが、その父親など、やさ男の印象なのに、最終的には大活躍するのが意外で面白かった。
メインの人物では、唯一 命を失う竜巻ハンターの隊長だが、自分の欲しかないように見えつつ、最終的に、みんなのために命をなげうつ。
そして、大竜巻に飲み込まれ、舞い上がり、大竜巻の上の風景を、死の際に見る。
荘厳な風景が広がり、隊長は、死の恐怖から逃れ、しばし、感慨を深くする。
そして、竜巻の目の中央を落下していくのだ。
このシーンを描けたから、この作品は、観た者の心に深く残るかも知れない・・・。
(2014/08/24)