☆・・・これは王道のゴジラです!
面白いです。
全くのけれん味なく、気負いもなく、堂々と世界ナンバー1のモンスターを撮りあげております。
まさか、ゴジラの「敵怪獣」が出てくるとは、本当に考えもしなかった。
この作品の、まさに特筆は、つがいでゴジラを襲う夫婦怪獣「ムートー」の存在なのである。
ここに、マニア魂の全てが詰まっている。
「パシフィック・リム」のギレルモ・デルトロにさえもなかった概念だ。
先ず、「つがい」であることが素晴らしく(1)、トキのような希少生物であるが、生態系を感じさせてくれる。
シーモンス・シーゴラス、二ドラン♂♀、大巨獣ガッパ夫婦、キングトータス・クイーントータス・・・、などが思い出される。
もう、生物的に、子孫を残すために、それはもう必死! 時を超え距離を越え、両者は巡り合い、キスをかます^^
ムートーの夫婦の外見、例えるなら、カマキラスとクモンガ!!
虫系なのである。
それも素晴らしい(2)。
だって、動物系のゴジラに動物系をぶつけても絵的に面白くない^^
雄雌の外観に違いがあり、そこがヴァラエティ豊かなのも素晴らしい(3)。
ムートー♂は、手がカマで、空を飛びます。
ガイガンぽくもあり、ギャオスぽくもある。
今回の話自体、ゴジラとムートーの関係は、平成ガメラとギャオスの関係ぽくもある。
空を飛ぶ翼竜的な怪獣ではラドンが有名だが、今回の作品では、翼から起こる風圧によるインパルス描写はない。
ムートー♀は、蜘蛛型だが、クモンガと色が異なる。
形は、楳図かずおの「漂流教室」の未来人的なフォルムである。
で、それぞれの来歴が、全て放射能に絡んではいるが、太古の地球→深海、フィリピン→日本の原発、エリア51の放射性物質保管所らと、神秘性や政治性を交えて、これもバラエティに富んでいる。
怪獣夫婦は出会うため、ゴジラはそれを追跡し、ホノルルでの怪獣対決、各地での米軍対個々怪獣を繰り広げていく。
それらは、わりとソフトな描写である。
見ている私は、「早う激しいバトルを見せてくれ」と思うが、それはクライマックスまで待たされる。
見たい絵面の数々は、人間キャラクターの見ているテレビの画面などに映っている(ホノルルの対決、ラスベガスを蹂躙するムートー♀)。
じらしのテクであろう^^
また、平成「ガメラ」シリーズなどでは、一枚絵で決まっている画像が一作に一つはあった(東京タワーのギャオス、爆心地のガメラ、燃える京都で対峙するガメラとイリス・・・)が、
今回の作品でも、非常に多くの一枚絵があった。
が、素晴らしい(4)! この作品の監督は、尺に多くを詰めたいと考えているのだろうが、タメを持たせない、それらをサラリと流していく。
うん、全くの気張りなく、ゴジラを「地球の守護神」にしちゃったのも驚くし、
こりゃ、このシリーズの続編にキングギドラを出しても、きっとおかしくない。
ムートーが、空中から一直線に降下してきて、軍艦に積まれた核ミサイルを横取りする図なんて良かったね^^
・・・しかし、この、太平洋をリングとした怪獣変則大マッチという大災厄だが、つくづく、「地震」「津波」「放射能」と、日本を襲った東北大震災が、いかに人類の未曽有の脅威であったことかを知る。
また、ムートーは、精密電気機器を数キロ半径に渡って無効にする「電磁パルス」を発することもできるので、これがミノフスキー粒子的に、戦争を、ロングレンジなしの戦闘に変える。
さて、サンフランシスコのラストバトル、良かったね。
一番良かったのが、愛し合う「二人」を邪魔する形のゴジラである。
ある意味野暮で^^; 夫婦の協力で撃退されかけるのも痛い展開だ。
空と陸からの夫婦ツープラトン攻撃は、絵的にも飽きが来ない。
ゴジラが夫婦を相手に戦っている間に、人間の主役は、ムートー♀の産んだモンスターエッグを焼却する。
それを嘆き悲しむムートー♀、ちょっと可哀想だった^^;
せっかく、万難を排し出会ったモンスター夫婦なのだから、メスの産んだ卵に、雄が、鮭みたいに精子みたいのをかけるみたいのを見てみたいような気がするみたいだった・・・。
そうでなくては、メスだけで繁殖できちゃうように見えちゃう。
貫録のある今回のゴジラ・・・。
核でゴジラが生まれたという概念を180度ひっくり返した、そもそもが核はゴジラを倒すためのもの、と言うコペルニクス的転回!^^;
(2014/07/25)