☆どちらも面白くて、こうして、続けて観た二つの作品をまとめて語ると、妙に符合する点がある。
どちらも、犯罪者に、被害者が拘束される物語だ。
『ザ・コール』は猟奇犯罪者に少女が、『キャプテン・フィリップス』は海賊に船長が掴まる。
どちらも、被害者は、愛する者へのメッセージを残し、「覚悟」を決め、悪と戦う。
そして、国際貨物船を舞台にした『キャプテン・・・』はともかく、『ザ・コール』においても、何故か、「アメリカ」が強調される(妙に国旗が印象に残る)。
また、犯罪者の背景も描かれ、それは、アメリカの世界戦略の敗北やら、文化衰退を匂わせつつ、それを克服してもいる。
『キャプテン・フィリップス』
面白かったのだが、私は、このノンフィクションの事実を知らなかったので、トム・ハンクス演じる船長は、最後には、死ぬのかと思っていた。
だって、宣伝の仕方が、明らかに「死亡フラグ」だったから^^;
と同時に、この船長に対し、「勇気」という言葉が冠せられているが、
私は、その「勇気」が、皆を助けるための死去に昇華されると思っていたので、非常に違和感が起こった。
この船長が、船長としての仕事以上の、人間としての「勇気」を示しているとは思えなかった。
この辺、日本とアメリカの「勇気」観の違いかも知れない。
欧米人は、例えば、「特攻」に対しては勇気と思わないみたいだし。
(いや、昨今の映画から見るアメリカの考え方としては、「特攻」を理解不能のものとは思ってないようだが。ex:『ID4』『アルマゲ…』『スペースカウ…』『グラン・トリ・・・』などなど。どちらかと言うと、日本人の方が、「無駄死に」だとかと言いたがっているな)
『ザ・コール 緊急通報指令室』
中盤から、ずーっとドキドキさせられ続けるサスペンス作品だった。
かつて、その緊急通話での対応を誤まり、少女を死なせてしまい、心に傷を負ったオペレーターをハル・ベリー(アフロだが、毎度の美しさ^^)が演じていて、
現場から離れていたのだが、不測の事態、そして、同じ犯人と思われる猟奇犯罪者に、現在進行形で誘拐されている少女からの携帯通報によって、再びの現場対応を余儀なくされる。
少女を助けるのは、繋がっている携帯通話のみ。
最後には助かるのはわかっているのに、その抜き差しならない状況の作りの数々は面白かった。
犯人は猟奇的であるが、その衝動が、肉欲的でなかったので、猟奇は嫌いだが、性的な不愉快さを感じることはなく、楽しく見た。
社会内においての捜査の段取りとして「どうなの?」と思う点や、「犯人暴れ過ぎやろ?」などと感じる点も多々あるが、まあいいっしょ。
誘拐された少女をアビゲイル・ブレスリンが演じているが、う〜んッ、ちょっと少女と言うにはきっついね^^;
ガタイも良過ぎるし(まあ、「戦う山羊座」を考えた上でのキャスティングなのだろうが^^;)
タイトル写真での左側の子の方が可愛いぞなもし。
物語のエピローグ・・・、私、最後にきて、かろうじて保たれてきたリアリティが崩壊するかと思ったんだけど(法からの逸脱行為)、あの結末ならば許せるかな?
あんな凶悪猟奇殺人鬼が、ちゃんと可愛い子供を養い、真っ当な奥さんがいて、それがちゃんと描写させられている作風には感心させられた。
(2013/12/03)