☆この映画、面白い!
二時間半の長尺だが、夢中になってみた。
内容は、東大安田講堂事件以後の、輝きを失いつつある全共闘運動を背景にした、とある、運動家か、運動家に憧れる者か、正体判別つからざる「革命家」と、遅れてきた運動同調派・新米左翼ジャーナリストの奇妙な友情を描いている。
時代の描き方が秀逸である。
もちろん、私は、舞台となる時代に生まれた者なので、狭義で言うところの「体験」をしているわけではないが、舞台美術・撮り方・役者の演技と、ほぼ完璧に、この時代を描けているのではないかと感じた。
おそらく、今年の、電力不足となる日本でも感じられるであろう、彼の時代の「熱帯夜」がムンムンと伝わってくる
何度も生まれ変わった日本の、一番最近の青春の時代を、青臭く、ダサく、胡散臭く、見事に描いていた。
何よりも、「中二病」的な思考回路で時代を乗り切ろうとした梅谷を演じる松山ケンイチの演技が最高だった。
この時代では、ある種の典型である「新左翼人」の、一般の社会との不調和が、徹底的に描写されていた。
うぜー、うぜー・・・、と思いつつ、しかし、自分にも梅谷と似た部分を見つけ、非常に不愉快になりつつ、そのリアルに画面から目が離せなくなってしまうのだ。
この、普遍的な個性のキャラクターの存在が、この作品で描かれた時代を現在において語る意義だと思うのだ。
松山ケンイチがものを食うシーンは、梅谷の「俗」が出過ぎていて凄くイヤで、だからこそ、見事だ。
他の役者たちも、ことごとくいいね。
特に、朝日新聞社の記者たちの面々が、それぞれいかにも「昭和」で実にいい。
二人のヒロインも出てくるが、それぞれが、あの時代の陰と陽を代表しているようでいて、どちらも闇に溶け込んでいくかのようで・・・。
主人公を演じる妻夫木聡だが、妻夫木自身の個性はそぎ落とされ、役柄の個性が出てて良かった。
特に、エピローグの、作中現在の主人公の疲れた雰囲気がうまく、
また、あたかも伏線のように語られていた「男の涙」が、メインの終幕である、朝日新聞社退社日の「週刊朝日」カバーガールとの会話のときに為されるのではなく、数年後の、カッコ悪い焼き鳥屋の片隅で為されるのが、物語的な計算の行き届きが感じられた。
◇
実は、客席には、私と彼女しかいなかった^^;
でも、もっともっと多くの人々が見るべき作品だ。
(2011/06/02)
二時間半の長尺だが、夢中になってみた。
内容は、東大安田講堂事件以後の、輝きを失いつつある全共闘運動を背景にした、とある、運動家か、運動家に憧れる者か、正体判別つからざる「革命家」と、遅れてきた運動同調派・新米左翼ジャーナリストの奇妙な友情を描いている。
時代の描き方が秀逸である。
もちろん、私は、舞台となる時代に生まれた者なので、狭義で言うところの「体験」をしているわけではないが、舞台美術・撮り方・役者の演技と、ほぼ完璧に、この時代を描けているのではないかと感じた。
おそらく、今年の、電力不足となる日本でも感じられるであろう、彼の時代の「熱帯夜」がムンムンと伝わってくる
何度も生まれ変わった日本の、一番最近の青春の時代を、青臭く、ダサく、胡散臭く、見事に描いていた。
何よりも、「中二病」的な思考回路で時代を乗り切ろうとした梅谷を演じる松山ケンイチの演技が最高だった。
この時代では、ある種の典型である「新左翼人」の、一般の社会との不調和が、徹底的に描写されていた。
うぜー、うぜー・・・、と思いつつ、しかし、自分にも梅谷と似た部分を見つけ、非常に不愉快になりつつ、そのリアルに画面から目が離せなくなってしまうのだ。
この、普遍的な個性のキャラクターの存在が、この作品で描かれた時代を現在において語る意義だと思うのだ。
松山ケンイチがものを食うシーンは、梅谷の「俗」が出過ぎていて凄くイヤで、だからこそ、見事だ。
他の役者たちも、ことごとくいいね。
特に、朝日新聞社の記者たちの面々が、それぞれいかにも「昭和」で実にいい。
二人のヒロインも出てくるが、それぞれが、あの時代の陰と陽を代表しているようでいて、どちらも闇に溶け込んでいくかのようで・・・。
主人公を演じる妻夫木聡だが、妻夫木自身の個性はそぎ落とされ、役柄の個性が出てて良かった。
特に、エピローグの、作中現在の主人公の疲れた雰囲気がうまく、
また、あたかも伏線のように語られていた「男の涙」が、メインの終幕である、朝日新聞社退社日の「週刊朝日」カバーガールとの会話のときに為されるのではなく、数年後の、カッコ悪い焼き鳥屋の片隅で為されるのが、物語的な計算の行き届きが感じられた。
◇
実は、客席には、私と彼女しかいなかった^^;
でも、もっともっと多くの人々が見るべき作品だ。
(2011/06/02)