Quantcast
Channel: 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3482

[映画『トゥルー・グリット』を観た]

$
0
0
☆すっかり、王道の物語を撮れるようになったコーエン兄弟監督作である。

 かつての、ジョン・ウェイン主演西部劇のオリジナル原作を映画化したとのこと。

 ・・・父親を殺された娘が、保安官を雇い、インディアン居留地に逃亡した犯人を追う。

 犯人には多くの前科があり、それを追い求めていたレンジャーもいた。

 三人は、それぞれ譲れないモノ・譲らない性格を持ちつつも、犯人を求め、同行するのだった・・・。

 そもそも、西部劇が一時期廃れたのにはマンネリの意味合いがあった。

 この作品もけして新鮮な要素があるわけではない。

 だが、コーエン兄弟、キッチリと骨太に撮りあげているので、大作の風格だ。

 冒頭、連邦保安官ルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)が、その激しい捜査活動を法廷にて糾弾されるのだが、そこで語られるセリフだけの銃撃戦が、観終えて、私、画面上で見たかのような錯覚に陥っている。

 そんな、凄い作品だ。

   ◇

 完成度が高いので、あまり語ることもない。

 主役の3人の性格が面白かった。

 父親を殺された14歳の娘マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)だが、聡明かつ意志の強い娘で、父親を殺された、地元と勝手の違う町で、頭脳を駆使して賠償金を手に入れ、保安官を雇うに動く。

 すぐに「訴える」「訴える」と言い、『さよなら 絶望先生』の木村カエレみたいなのだが、

     ・・・「訴えるよ!」

 それが町では機能するものの、一たび町を出れば、全く通用しない無法者の世界であるのに、それでも我の強さだけで乗り越えようとする性格が面白い。

 この子、14歳の美少女なのに、作中の悪人たちは、彼女を「ガキ」とか「子供」と言い、一人も彼女を性的対象として見ていないのが、私には非常に健全に感じ、こいつらとは話が合わないなと思うのだった。

 ヘイリー・スタインフェルドは、私の趣味の娘ではないが、その目だけは最高に美しかった。

・・・「訴えるよ!」てか「撃つよ!」

 保安官ルースター・コグバーンは、一番性格が読みやすそうに見えて、一番分からなかった。

 憎まれ口を叩かずにはいられないらしく、さりとて、実はいい人というステロタイプな描き方もされていない。

 結構普通に職務を全うする。

 と思えば、途中から酔いどれになり、銃の腕前の一番に拘るのだ。

 年齢も分からなかった。

 60歳超の、引退間際の保安官に思えて、エピローグでは25年後まで生きていることが語られる。

 テキサスのレンジャー、ラビーフ(マット・デイモン)も、コミュニケーション能力に欠点がある。

 会話がこじれるとすぐにいきり立ち、関係を放棄する。

 どうやら、レンジャーとしての誇りは人一倍あるが、他人の誇りを尊重する思いやりがないのだ。

 物語的には、三人は最初こそ衝突を繰り返すが、中盤から収まるところに収まるのがセオリーだと思うのだが、なんか、クライマックスの決戦までいがみ合いを繰り広げるので、それが斬新だったかな?

 追い求めた犯人チェイニーがチンピラレベルなので、味方の方に強い刺激をおいたほうが物語的に面白いのは確かだ。

 物語は、主役の三人の思いのズレで進んでいき、そこがテーマ的なメインなので、

 最期の決戦は延々と銃撃戦が続くような戦いではなく、切れ味の良い決闘であった。

 三人は、その戦いを通し、お互いを認め合うのだ。

 ・・・私的には、25年後のエピローグは不要でした。

                                                  (2011/07/17)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3482

Trending Articles