☆悪い作品ではない。
だが、・・・う〜ん、映画作品として、その枠組みとして色々考えさせられた作品だった。
あまり予備知識はなかったのだが、文芸作品だと思っていたら、ミステリーだと知った。
ミステリーとは、時に、その登場人物の情動(個性)が、現実から乖離することがある。
だから、この作品は、色んな状況に陥りながらも、ピアノに打ち込む女学生の主人公・・・、その少女がピアニストを目指す世界を舞台にしたミステリーだと思っていたので、
いつ、どの登場人物が「豹変」するかを、ずーっと意識させられていた。
裕福な家庭で、祖父をはじめとする家族や、親を不幸のうちに失い 姉妹同然で暮らすことになった従姉妹のルシアと過ごしていたはるかは、
ある夜、火事で祖父と従姉妹と、自らの身体の自由を奪われてしまう。
はるかは、不自由な身体を治療され、祖父や従姉妹の願いを叶うべく、過酷なリハビリの中で、ピアノの家庭教師の手ほどきを受け、次第に、ピアニストとしての才能・技術を伸ばしていく・・・。
主人公「はるか」(橋本愛)の最大の秘密は、少々、ミステリーが好きならば、すぐに誰でも想像がつくカラクリである。
その「はるか」を狙う者の存在は、なんの捻りもなく判明する。
事故にあった「はるか」の、ピアノの家庭教師を務める岬(清塚信也)は、なかなか風変わりな男で、探偵役になるかと思いきや、そこでの活躍はない(ピアニストとしても、ピアノの先生としても良かったが)。
「はるか」の身体を治療した外科医も、キャラ立ちしているが、ただのいい人である。
父親も叔父も、やや奇矯なれど、物語を牽引しない。
私は、登場人物の誰が「犯人」として、豹変するのかを待ち続けた。
しかし、どうやら、そういう話ではなかった。
クライマックスで、コンテストでの「はるか」の演奏が、「ルシア」との「絆」を感じさせる回想と重ね合わせられる・・・、ちょっと感動もするのだが、おいおい、物語に、そこに感情移入できるほどの段階はなかったぞ、とも思うのだ。
そして、「はるか」の演奏は、まだまだ不自由もある指の動きの中で、最後には根性を見せてくれ、感動もするのだが、
そこまで、ミステリーとして見てきたので、おいおい、いきなりの熱血展開についていけないぞ、とも思うのだ。
登場人物の誰もが、心に「悪」を抱いているようなことはなく、豹変するような「犯人」はいなかった。
この物語はなんだったんだろう・・・、という思いが、私には強い。
橋本愛は、前田敦子を凌駕するオカッパ髪の代名詞となり得るだろうが、
水原希子のようなエグさも感じる(柴崎コウみたいになって欲しいが・・・)。
難しい、雁字搦めの役柄を、次第に感情を激しくさせながら、橋本愛は熱演したと思う。
彼女の代表作になるだろう。
ただ、私は、それでも華奢だが、彼女の「少女」としての、四肢のヒョロヒョロ具合が次第になくなってしまったのが寂しい・・・。
(2013/01/26)
だが、・・・う〜ん、映画作品として、その枠組みとして色々考えさせられた作品だった。
あまり予備知識はなかったのだが、文芸作品だと思っていたら、ミステリーだと知った。
ミステリーとは、時に、その登場人物の情動(個性)が、現実から乖離することがある。
だから、この作品は、色んな状況に陥りながらも、ピアノに打ち込む女学生の主人公・・・、その少女がピアニストを目指す世界を舞台にしたミステリーだと思っていたので、
いつ、どの登場人物が「豹変」するかを、ずーっと意識させられていた。
裕福な家庭で、祖父をはじめとする家族や、親を不幸のうちに失い 姉妹同然で暮らすことになった従姉妹のルシアと過ごしていたはるかは、
ある夜、火事で祖父と従姉妹と、自らの身体の自由を奪われてしまう。
はるかは、不自由な身体を治療され、祖父や従姉妹の願いを叶うべく、過酷なリハビリの中で、ピアノの家庭教師の手ほどきを受け、次第に、ピアニストとしての才能・技術を伸ばしていく・・・。
主人公「はるか」(橋本愛)の最大の秘密は、少々、ミステリーが好きならば、すぐに誰でも想像がつくカラクリである。
その「はるか」を狙う者の存在は、なんの捻りもなく判明する。
事故にあった「はるか」の、ピアノの家庭教師を務める岬(清塚信也)は、なかなか風変わりな男で、探偵役になるかと思いきや、そこでの活躍はない(ピアニストとしても、ピアノの先生としても良かったが)。
「はるか」の身体を治療した外科医も、キャラ立ちしているが、ただのいい人である。
父親も叔父も、やや奇矯なれど、物語を牽引しない。
私は、登場人物の誰が「犯人」として、豹変するのかを待ち続けた。
しかし、どうやら、そういう話ではなかった。
クライマックスで、コンテストでの「はるか」の演奏が、「ルシア」との「絆」を感じさせる回想と重ね合わせられる・・・、ちょっと感動もするのだが、おいおい、物語に、そこに感情移入できるほどの段階はなかったぞ、とも思うのだ。
そして、「はるか」の演奏は、まだまだ不自由もある指の動きの中で、最後には根性を見せてくれ、感動もするのだが、
そこまで、ミステリーとして見てきたので、おいおい、いきなりの熱血展開についていけないぞ、とも思うのだ。
登場人物の誰もが、心に「悪」を抱いているようなことはなく、豹変するような「犯人」はいなかった。
この物語はなんだったんだろう・・・、という思いが、私には強い。
橋本愛は、前田敦子を凌駕するオカッパ髪の代名詞となり得るだろうが、
水原希子のようなエグさも感じる(柴崎コウみたいになって欲しいが・・・)。
難しい、雁字搦めの役柄を、次第に感情を激しくさせながら、橋本愛は熱演したと思う。
彼女の代表作になるだろう。
ただ、私は、それでも華奢だが、彼女の「少女」としての、四肢のヒョロヒョロ具合が次第になくなってしまったのが寂しい・・・。
(2013/01/26)