☆・・・「戦争」を活写した傑作マンガ。
ドラえもんの様な可愛い絵柄ゆえに、その過酷さはより浮き彫りになる。
第2次大戦時、激戦地ペリリュー島の日本軍、島の防衛、玉砕、生き残りによるサバイバルの物語。
地獄は継続し、更に更新されていく。
人間とは、その艱難辛苦さえも日常とし、それでも生き抜こうとする。
主人公が尊敬する少尉は、極限状況下でも希望を失わない。
まだまだ連載は続いているのだが、最新刊では、潜伏した仲間たちが米軍に強襲される。
細心の注意で潜み、何カ所にも別れていたのにピンポイントで狙われた。
先に米軍に捕まった、いまいち精彩に欠けた中尉が情報を漏らしたのか?
私は、死んだと思われていた人格者である少尉が、実は捕まっていて、拷問に耐えきれず、仲間の居場所を白状してしまったのではないかと先を読んでいる。
立派な人物だっただけに、その落差は戦争の悲惨さを描くにポイントとなろう。
また、「歴史の事象を、現代の尺度で解釈してはならない」は、歴史学の鉄則であり、左翼の方々は、それを根本的に間違えているからトンチンカンなのだが、この「ペリリュー」は、当時の常識を淡々と描いていて素晴らしい。
だが、一つだけ不満がある。
女の子っぽい兵士がいるのだが、極限状況のなかで、別の兵士が彼に、あたかも、現代の性同一性障害の人に向けるような言葉を向けるのだ。
「君は女の子なんだよね、身体は男だけど、心は女の子、そういう人がいること、僕は知ってるよ」
…いや、昭和初期に、そんな概念を知っている日本人はいないよ、ちょっとシラケた^_^;
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス) 武田一義 白泉社
(2019/02/13)