☆・・・店にお客さんがいないときに、録りだめしていたテレビドラマを見てるのだけど、高畑充希主演の『過保護のカホコ』がマジでゾッとするほどヤバい。
内容は、過保護に育ったカホコが、いざ大学の卒業時期になり、就職活動を始めるのだが、そもそも、自立できる家庭での教育を受けて来なかったので、社会に出ることはおろか、その前段階の就職活動にさえも躓く。
そこで挫折を感じ、何かを学ぶのならばいいが、その不都合さえも、親や親族が「いいのよ、あなたは^^」と無責任に包み込んでしまう。
いつも手の込んだお弁当を持たされ、その行動を心配される。
家に帰れば、一挙手一投足に至れり尽くせりの誘導が成され、カホコには選択の権利がなく、その選択の権利がないことにカホコも疑問を持たない。
それが幸せと信じている。
居間では、自分の幼少期のビデオなどを見て家族団らん。
一族では誕生日会などが頻繁に開かれ、親族からもてはやされるカホコ。
だが、社会に生きている限りにおいては、どうしても外界との些細な衝突がある。
そんな時、カホコは思考停止の無表情になる…、と思いきや、よく見ると微妙に口元を歪ませている。
高畑充希は、私の好みの女優じゃないが演技は抜群(歌唱力も素晴らしい)で、素晴らしく滑稽にカホコを演じている。
主人公のカホコだが、物語が進んでいくと、その過保護の元凶の母親もまた、もう一人の主人公だと分かる。
出てくる親族みな、カホコを過保護に見守っているのだが、この母親こそが最もカホコの情操を歪めていた。
黒木瞳が演じている。
・・・甘やかしていた息子がレイプで捕まった女優の高畑淳子が、ドラマ『屋根裏の恋人』で、息子に甘い母親役を演じていた。
で、同じく、学校などでいじめっ子として問題になっている娘を甘やかせて育てていると言われれている黒木瞳が、ドラマ『過保護のカホコ』では、それを倍した役柄を演じている。
テレビドラマの製作陣もブラックユーモアが過ぎる。
・・・だが、人間には「本能」がある。
カホコは、ささやかな外界との交流を通し、普通の人の何十分の一ながらも、自分の生活への危機感を感じ始めている。
だが、その危機感への対応策を学んできていない・持っていない。
もう、それが、不憫すぎる。
それでも、感情表現が少ないながらも、カホコはドタバタと滑稽に動き始める。
一種、障碍者のようだ・・・(障害者への差別発言ではないよ)。
コメディを越えてブラックコメディになっている・・・。
私が、心底 怖気(おぞけ)を振るうのが、周囲にこんな人物がやたらと多いことに気づくからだ。
いや、うちの店の女性客は、ほとんど例外なく自立している。
しかし、男性に、たまにこんな人が見受けられる。
他者との適正な距離が測れない人・・・。
しかも、カホコのように温和な性格ではないことが多い。
虚勢を張ったり、口先だけであったり、自己中であったり、実体が伴っていなかったり、周囲の優しさで生かされているに過ぎなかったり、そもそも仕事を持っていなかったり・・・。
カホコ、頑張って這い上がっていってくれ!!
(2017/07/26)