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Channel: 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭
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[映画『20センチュリー・ウーマン』を観た]

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☆・・・私好みの、時代をざっくりと切り取った作品であった。
 「ざっくり」とは大雑把と言う意味ではない、ここでは大胆と言う意味である。
 『20センチュリー・ウーマン』とは大きく構えたタイトルだが、それは大げさではない。
 舞台は1979年のカリフォルニア、主人公は母と子である。
 母ドロシア(55歳)は、大恐慌時代と戦争と戦後を生きて来て、その中で、女性の社会進出の先駆者の如く過ごしてきた。
 戦時中は夢かなわずも空軍パイロットを目指し、戦後は女性初の製図師となり、シェアハウスの経営もしている。
 ある意味、その帰結として「シングルマザー」となり、息子を育ててきた。
 が、高齢出産で産み、多感な年齢を迎えた息子ジェイミー(15歳)の教育に戸惑う。
 進取の気性で生きてきたドロシアである。
 簡単なレッテル張りすると「左翼」的人物の原初である^^;
 その父親不在の弊害を打破すべく、ドロシアは「進歩的なやり方」を模索し、ジェイミーの幼馴染のジュリー(17歳)と、間借り人のアビー(女性・20代)に、それぞれ「見守り」と「生き方の示し」をお願いするのだった。
 父親がいなくても出来る、と思った。
 それは正しく、また、同時に間違いもはらんでいる。
 だが、すぐに、その「左翼」のドロシアさえも、ジュリーやアビーの示す「自由(先鋭化された左翼)」に驚かされるのだった。
 ドロシアが女性の時代の旗手として活躍した時代は過ぎ、その概要が、ある意味、形骸化に至るはじまりだった(日本の左翼などは、それが行きつくとこまで行ってパブロフ的な自由を謳歌するに至る)。
 ・・・セックス&ドラッグ、フェミニズムは性の解放、ベトナム戦争、エネルギー問題、ヒッピー、パンク、ニクソン、カーター・・・。
 時代のキーワードが背景で語られる。
 メインの登場人物の過去と未来も表現されて、確かに、20世紀を包括させていた。
 ジェイミーとジェリー(美少女 エル・ファニング)の関係が、一個人の人生を集約せしめた、私のフェイバリット作品の一つ『トト・ザ・ヒーロー』と重なり、
 ドロシアたちが車で移動するときの画面の特殊加工は、『2001年 宇宙の旅』のスターゲートのシーンが意識されているのか。
 ドロシアの右往左往の果てに、最終的にドロシアが求めていたことが、ジェイミーとの一対一の触れ合いにあったことは、あたかも、「幸せの青い鳥」が実は帰宅した家にいたのと同様の答えなのだろう。

                                (2017/06/09)


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