☆・・・これは凄い映画でした。
私は、このような、『4分間のピアニスト』を彷彿とさせる、情熱や根性、才能や激情の作品が大好きなのです。
・・・とあるジャズ評論家が、この映画に対し、そのエキセントリックさに「ジャズへの冒涜だ」と言い、
とある映画評論家は、「いや、この映画は素晴らしい」と、ちょっとした論争になったようだ。
私は、保守派なので、・・・保守派は、物ごとの正しきバランスを見極めるのが本義であると私は考えているので、
よって、右でも左でも、原理主義でも革新でもないので、
この作品の、「何かを為すときの人の強い思いを知る」と言うテーマにおいては、極上の作品だったと思う。
何よりも、私、身体が反応しっぱなしだった。
クライマックスの演奏では、そのハイスピードに、私の太ももが追いつこうと必死で、痙攣したかのようだった。
音楽的なエゴイストが指導する教授のバンドに参加することになった主人公は、その独裁者の下でスパルタを超えた狂気の指導を受ける。
主人公は、恋も友情も捨て、ひたすらに音楽にまい進する。
何かに挑戦すると言うことは、そういうことだ。
私の姉は、幼少時からピアノをやっていて、それほど金持ちの家庭ではなかったが、音大に行っている。
幼い頃から、ひたすらに努力の毎日であった。
私も、音楽ではないが、親から授けられた能力には努力は怠らないできた。
辛くてもひたすらに我慢して努力しなくちゃいけないこともある。
その能力を用い、その能力が目指す高みを、他のこと(セックスや名声、馴れ合いなどの下卑た欲望)で汚した時、その「志(こころざし)」は終わるだろう。
挑戦する者は「孤独」であらねばならない。
教授が、「至高の音楽」「至高の音楽を理解する自分」、どちらにエゴイストなのかはわからないが、教授自身も音楽のことしか考えていない。
クライマックス・・・、教授のプライドによって追い詰められた主人公は、決断の時を迫られる。
私は、絶体絶命の危機を目の前に、一歩踏み出せた主人公に共感を覚えた。
(2015/06/03)