☆ジョン・ウー監督の出世作『男たちの挽歌』の韓国版リメイク作である。
どうかなぁ・・・。
いまいち乗り込めなかった自分がいます。
そもそも、オリジナル版も、展開自体はベタだったのだが、ジョン・ウーの美学である独特の撮り方によって、観る者の心情に深く食い込む作品となった。
その頃のジョン・ウーは、物語の整合性よりも勢いを優先するパワーもあった。
しかし、今回の作品はキッチリと作られてはいるが、定番の物語を彩る「美学」は感じられず、
古臭い話を最新の技術で作ったものだなぁ、の感想が先ずきてしまう・・・。
母親を連れていって観たのだが、母親は「なんか、昔の高倉健の映画みたいだねぇ…」と呟いていた。
それが悪いわけではなく、「現在」にはそぐわないと言うことだ。
◇
物語当初の説明不足もきつい。
オリジナルと如何ほどの違いがあるのか分からないが(それほどに覚えていない)、オリジナルを見るのが前提のリメイクなんてことはないだろうから、脚本に、絶対に、主人公らの状況説明を一言でもいいから付加すべきであった。
脱北者の主人公ヒョクの立場がよく分からなかった。
弟を北に置き去りにしてしまった後悔の内にあるのは分かった。
そして、武器の密売に絡んでいるのも分かり、その組織の実働部隊のナンバー1の地位にあり、ナンバー2に信頼できるヨンチュンがいて、ナンバー3に、後に自分らを裏切るテミンがいるのは理解した。
しかし、そこで、刑事が二人ばかり、敵としてではなく絡んでくるのだ。
だから、私は、ヒョクは警察の一員で、暴力団への潜入捜査官なのだと思った。
だが、一人は、脱北者のヒョクの後見人としての警部で、もう一人は、脱北者取り締まりの主任の刑事のようだった。
それが理解できるのは、始まって全編の三分の一が過ぎた頃からなので、当初は、「???」の気持ちがいっぱいで、話の整理をするのが精一杯で、全然、物語に没入できなかった。
また、すぐに物語に絡んでくる脱北者のチョル(ヒョクの弟)がいるのだが、
いまいち、展開を追えない状況の中で、敵役のテミンの右腕となる男と、顔が似ていることもあり、「ん? ここで変なつながりがあるのかな」と、自分の中の物語が混乱をきたしてしまった^^;
後半から、やっとこさ、私個人の中で、登場人物の整頓が出来、展開を楽しめるのだが、なんか中途半端な鑑賞になってしまった。
故に、主人公の「高倉健(チュ・ジンモ)」と、落ちぶれた組織のナンバー2であるイケメン(ソン・スンホン)との、
物語のサブテーマとしての、「血のつながりがない悲しくも深い兄弟愛」のほうに、物語全般の「挽歌」性が傾いてしまった。
まあ、作品上での、南北分断体制の悲劇の中での「愛憎の兄弟愛」は、クライマックスで結実するのだが・・・。
(2011/02/20)
どうかなぁ・・・。
いまいち乗り込めなかった自分がいます。
そもそも、オリジナル版も、展開自体はベタだったのだが、ジョン・ウーの美学である独特の撮り方によって、観る者の心情に深く食い込む作品となった。
その頃のジョン・ウーは、物語の整合性よりも勢いを優先するパワーもあった。
しかし、今回の作品はキッチリと作られてはいるが、定番の物語を彩る「美学」は感じられず、
古臭い話を最新の技術で作ったものだなぁ、の感想が先ずきてしまう・・・。
母親を連れていって観たのだが、母親は「なんか、昔の高倉健の映画みたいだねぇ…」と呟いていた。
それが悪いわけではなく、「現在」にはそぐわないと言うことだ。
◇
物語当初の説明不足もきつい。
オリジナルと如何ほどの違いがあるのか分からないが(それほどに覚えていない)、オリジナルを見るのが前提のリメイクなんてことはないだろうから、脚本に、絶対に、主人公らの状況説明を一言でもいいから付加すべきであった。
脱北者の主人公ヒョクの立場がよく分からなかった。
弟を北に置き去りにしてしまった後悔の内にあるのは分かった。
そして、武器の密売に絡んでいるのも分かり、その組織の実働部隊のナンバー1の地位にあり、ナンバー2に信頼できるヨンチュンがいて、ナンバー3に、後に自分らを裏切るテミンがいるのは理解した。
しかし、そこで、刑事が二人ばかり、敵としてではなく絡んでくるのだ。
だから、私は、ヒョクは警察の一員で、暴力団への潜入捜査官なのだと思った。
だが、一人は、脱北者のヒョクの後見人としての警部で、もう一人は、脱北者取り締まりの主任の刑事のようだった。
それが理解できるのは、始まって全編の三分の一が過ぎた頃からなので、当初は、「???」の気持ちがいっぱいで、話の整理をするのが精一杯で、全然、物語に没入できなかった。
また、すぐに物語に絡んでくる脱北者のチョル(ヒョクの弟)がいるのだが、
いまいち、展開を追えない状況の中で、敵役のテミンの右腕となる男と、顔が似ていることもあり、「ん? ここで変なつながりがあるのかな」と、自分の中の物語が混乱をきたしてしまった^^;
後半から、やっとこさ、私個人の中で、登場人物の整頓が出来、展開を楽しめるのだが、なんか中途半端な鑑賞になってしまった。
故に、主人公の「高倉健(チュ・ジンモ)」と、落ちぶれた組織のナンバー2であるイケメン(ソン・スンホン)との、
物語のサブテーマとしての、「血のつながりがない悲しくも深い兄弟愛」のほうに、物語全般の「挽歌」性が傾いてしまった。
まあ、作品上での、南北分断体制の悲劇の中での「愛憎の兄弟愛」は、クライマックスで結実するのだが・・・。
(2011/02/20)