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Channel: 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭
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[看板娘]

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☆・・・昨夜は、お店が、今月に入って一番暇だったけど、まあ、ちょいと稼いだからいいや^^;

 ・・・と、暇だと、うちの看板娘・樹里が「暇?」」とメールしてきて、「ああ」と私が言うと、いそいそと店にやってくる。

 忙しい時に来るのが普通だろうが、樹里ちゃんは違う。

 この樹里ちゃん、昼間はオシャレな店で働いていて、外見は、う〜ん、誰に例えればいいのだろうか、ワンレングスで、口元がエキゾチックなオードリー・ヘプバーンみたいな容姿をしている。

 なんかオシャレな女なので、私とは、友人としても縁がないと思っていたのだが、いつしか、自分のほうから、「私、この店の看板娘になります」と言ってきた。

 最初は私、恐る恐るだったのだが、次第に仲良くなってきて、今は、「この子はうちの看板娘だ!^^」と言ってのけられるような関係になっている。

 不思議と恋愛感情はない。

 もちろん、体の関係など、ない。

 いや、この人、そういう面では、私のことを、きっと、キモいと思っている^^;

 だから、私も開き直って、「今度、あの美人若奥さんとランチ行くんだ^^; 状況によっては、あの人とチューするんだ、チュー、うへへ^^; もちろん、俺も誰かと結婚したいし、あちらも家庭があるので、内緒で秘密の大人の関係だぜ! 樹里さんだから教えちゃう」などと、不道徳なことを平気で話している。

「へーっ、マスターも楽しいことやってんじゃん!!」と樹里。

 ああ、樹里ちゃんは、水原希子に似てるかなぁ(背は小さい)。

     

 男のお客さんは、大体 惚れる。

 最近、私が、イケメンのお客さんと引き合わせて、交際を始めた。

 でも、うちの店には普通に来て、他の男性客と寛いでいる。

 そもそも、彼女にはバイト料などは渡していない。

 彼女はお酒を飲めないので、うちの店には、夕食を食いに来る。

 うちの店は定食屋代わりだ。

 定食代は頂く。

 でも、お店を盛り上げてくれて申し訳ないので、いつも、コンビニスィーツを買ってきておく。

 「盛り上げてくれる」とは言っても、彼女は「キャーキャー」騒ぐわけではない。

 あんまし笑わないで、お客さんに、たまにズケズケとツッコミを入れるだけだ。

 お客さんの、なにがしかの申し出を、すぐに「ヤダ!」と拒否るし、お客さんが有頂天に語る自慢に「キモっ・・・」とか言うし、私の付けたニックネーム『ツンツンガール』の面目躍如だ。

 でも、彼女は、そんなお客さんから離れることはない。

 お客さんは、そんな高慢ちきな女が、自分を相手にしてくれていることが嬉しいらしく、またも来店してくれる。

 私は、自分の店がなんで流行っているのか、たびたび考えるのだが、理由の一つに、私の会話術があると思っている。

 私、もちろん相手を見るのだけど、この歳には珍しく、異常に好奇心が旺盛なので、お客さんのプライベートにグイグイと食い込む。

 商売をやるにあたっては、本当は良くないとされることだ。

 もちろん、礼儀は守っているが、実際のところ、お客さんはそれが心地よい様だ。

 私は飲食業の素人なので、それがいい面に作用している。

 商売という、相手との間に「対価」が存在するので、いつも不愛想な私も、モチベーションを持ち続けられるのだ。

 リピーターとならなかったお客さんは、今まで、ほとんどいない。

 もちろん、生ハムやチーズが安くて上質だから・・・、が前提だけれども。

 で、そんな私がやっている店だから、樹里ちゃんのような変則な女の子がなつき、それがまた、他のお客さんに人気を博すのだ。

 樹里ちゃんとも、あと半年も ともに過ごせば、親友になるのだろうな。

                                      (2014/02/06)


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