☆・・・今年、映画館で観た作品③
▼16.『オペレーション・ミンスミート ナチスを欺いた死体』…4.0
第二次世界大戦中の実話。イギリスのヨーロッパ本土上陸作戦において、その場所を特定されないために、将校の死体に偽情報を持たせ、ナチスに拾わせて騙す作戦。考案は「007」を後に書くことになるイアン・フレミング(主人公ではないわき役)。荒唐無稽だが、それを実現させるべく、リアルを醸す数々の小技があり、それがサスペンスを盛り上げる。メイン二人のイギリス軍人の、一人の女性を巡る恋もなかなかグッとくる。ただ、主人公のコリン・ファースが「キングスマン」にしか見えない^^; 次回公開作は、ロシア将校を演じるらしく、きっとキングスマンにしか見えない^^;;;
▼17.『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』…4.0
凄いタイトルだが、「奇妙な果実」という黒人差別を提示した内容を持ち歌にしたビリー・ホリデイと、その内容が市民を扇動する危険思想だと危惧するFBIとの闘い。昨今のウクライナを巡る多くの動きの中でも、ウクライナにとって有効であり、ロシアにとって憂うべきは「国民運動」である。その怒涛は、国家を塗り替える可能性を持つ。FBIは、「奇妙な果実」によって起こる変革を恐れ、ビリーに監視の目を怠らないのだった。そして、ビリーには薬物との闘いもあった…。
▼18.『ゴッドスレイヤー 神殺しの剣』…3.5
中国映画。ジャンプマンガの設定を三作品分ぐらい盛り込んだ内容。誘拐された娘を追い求める主人公。夢の中では、とある作家の書いた世界を旅する。謎の美女が現われ、どうやら、その幻想世界は現実世界とリンクし、自分の命が危ないと感じた富豪が、超能力者を放ち、作家を抹殺しようとし、主人公は巻き込まれる。主人公が幻想世界で魔王の如き青鬼を倒した時、連れ去られた娘は戻ってくるのか? 何が何やら^^; でも、面白かった。見たことのないような、現実パートの中国の街並みがいいし、相棒となる生きている鎧との友情もいいし、最終的に、ちゃんと巨大な青鬼とのバトルを直球で見せてくれたのもいい。
▼19.『嘘喰い』…2.5
原作は夢中で読んだものだ。しかし、映画の尺で、原作の見どころをなるたけ詰め込もうとすると、かえって希薄になってしまう。「カイジ」みたいに、ギャンブル勝負を絞って見せて欲しかった。白石麻衣は頑張っていたよ^^
▼20.『コーダ あいのうた』…4.0
耳の不自由な家族の中に生まれた唯一の健常者の主人公ルビー、家族と社会との橋渡しを引き受け、父と兄の漁の手伝いもし、学校に通う毎日。海では、耳の聞こえない父や兄をよそに、大いに歌う。ルビーは歌が好きだ、でも、その評価をしてくれる人がいない。合唱部に入ってみる。しかし、歌えと言われると、家族との関係の中で、「なんか変な話し方」と周囲の者に言われ続けていたルビーは、逃げ出しちゃったりする。しかし、教師に、その歌の才能を見出される。将来、音大に行きたい、でも、家族はほっておけない。そんなルビーの青春と恋と未来のお話。家族の描かれ方が割と下世話で、それでも家族をないがしろには出来ないルビー。
▼21.『アンチャーテッド』…3.0
アクションゲームの映画化らしい。雑な話だけど、空中をメインにしたアクションの数々は面白かった。
▼22.『ナイル殺人事件』…4.0
原作も読んだし、映画版もテレビ版も見たのに、絢爛豪華なエジプトクルーズの果てに明かされる真相に驚かされる。これは、そのトリックが、「アクロイド殺し」や「そして誰もいなくなった」「オリエント急行殺人事件」のように極端な形でなく、クリスティの持ち味、人間描写に重きが置かれているからだろう。また、名探偵ポアロの過去が描かれたのも斬新であった。
▼23.『白い牛のバラッド』…4.0
イラン映画。旦那が処刑されたが冤罪と分かる。賠償金が出て、耳の聞こえない娘との生活は改善されそうだが、主人公のミナは、裁判官の謝罪を求めるべく裁判所に通う。そんなミナを見かねて気にかける男がいた。まあ、その男は、罪悪感に苛まれし、誤審の裁判官であるのは分かるのだが、ミナに告白できずに親しくなっていく。最終的に、ミナの下す決断は…。日本人の感覚とはちょっと違う。
▼24.『ウエスト・サイド・ストーリー』…3.5
オリジナル版に忠実に作られた作品だと思うが、現代に則したスピーディーさ・下世話な盛り上げ具合(「グレイテスト・ショーマン」みたく^^;)がない。「キャッツ」ともども、スピルバーグのミュージカルはパッとしないね。名曲の数々に、胸がときめきはする。
(2022/03/18)