☆・・・水島新司の死去は、少年チャンピオン全盛期を知っている者にはショックとなろう。
でも、読者は置いてきぼりはされていない。
水島新司は、「ドカベン」シリーズも、大著「あぶさん」も、数年前に完結させている。
4年前に、「ドカベン」シリーズが終わった時に記した文章を再掲し、送る言葉としたい。
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(2018/06/28)
『ドカベン』シリーズが完結した。
正直、オリジナル「ドカベン」と高校野球編続編『大甲子園 』にしか興味がなく、その後の『プロ野球編』『スーパースターズ編』『ドリームトーナメント編』は熱心なファンではない。
やっぱ、負けたら終わりの、青春の中のトーナメント戦こそが、読む者を燃えあがらせる。
「ドカベン」は、マンガ表現的にも物語作劇術的にもエポックとなるマンガだった。
後の、スポーツに限らず、バトル物、ファンタジー物は、「ドカベン」の影響を受けずにはいられない。
勝負の構造しかり、明訓高校の仲間たちの個性しかり、ライバルたちの特有の能力しかり。
私はライバルの土佐丸高校との死闘に惹かれた。
土佐丸高校との再戦、山田太郎 高2の春の選抜決勝、メンバーの過去が回想されつつ、現在と繋がるという手法は、この後、色んな作品で当然のようにおこなわれた。
五度、明訓高校に挑み、堂々と破れた白新高校の不知火も良かったが、私の一番好きだったライバルは「大甲子園」に初出だった。
土佐丸高校の犬飼兄弟には、進学校に行った3男・知三郎がいて、甲子園にて、明訓高校に挑む。
この、勉強ばかりに思えた知三郎の精神力・執念、そして土壇場で見せた野性が、私にはメチャ格好良かった!
一つの時代が、その残滓さえも終わったんだな・・・。
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(2022/01/18)