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Channel: 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭
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[今日のミブ人間(5)]

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☆・・・お客さんが、都内のお寿司屋さんで、少女マンガ家と知り合ったとのこと。
 その作家の名前は覚えていた。
 今は、新撰組を題材に大長編を描き、それが最近 全45巻で完結したそうだ。

   ◆渡辺多恵子作『風 光る』◆

 無性に読みたくなり、30巻ぐらいまでを大人買いした。
 「リボンの騎士」のサファイア王子、「ベルサイユのばら」のオスカルみたいな、新撰組に、性を偽り入隊した少女を主人公に据えた物語。
 中心の 物語的な冒険はあれど、展開は史実に即して進んでいく。
 女性作家らしいきめ細やかな心理描写が心地よい。
 6巻で池田屋事件が語られる。
 「おや?」と思ったのが、池田屋の襲撃の最中に、沖田総司が肺結核を発病、喀血するのが定番なのだが、この作品では、沖田総司は違う病で戦闘をリタイアする。
 その病は、すぐに回復する。

 その裏話が、巻末の創作ノートで語られていた。
 作者 曰く、沖田総司は、この後、4年間 生きながらえる。
 しかし、当時の医療状況では、肺結核で死に至る期間は、闘病に専念してさえ、半年から一年。
 4年も肺結核に罹りながら、「新撰組一の剣豪」として名を馳せることは難しいのじゃないか?
 そう思い、調べたら、多くの歴史研究者が既に、その池田屋喀血のフィクションを指摘していた。
 最初にそれを語り始めたのは子母沢寛、その作品には、多くの虚構・演出が含まれてもいて、それを下敷きにしている司馬遼太郎「燃えよ剣」なども、その内容の史実性が根底から崩れる。
 作者は「でも、『燃えよ剣』が名作なコトには変わりないぜ!」とも言っている。
 司馬遼太郎は、歴史を考えるときの【最初の壁】である。
 私も、司馬の「坂の上の雲」に感動し、司馬が「最悪」としたノモンハン事件を研究した時、司馬と、その同志の半藤一利が、かなりの偏見で歴史を判断しているのを知った。
 それに気づいた時、私は、司馬遼太郎は娯楽小説家として楽しむべき対象なんだと悟った。
 それは、【第二の壁】としてのN H Kの大河ドラマでも同様である。
 あれもエンターテイメントである、あれを見て歴史の勉強をしてもミスリードされよう。
 作者は、「よかった 私 (歴史の)新参(にわか)ファンで❤️」と言っている。
 同感である。
 私も、歴史に興味を持ったのは成人してからだ。
 若い頃から、司馬遼太郎を読み込んでいたら、それが知識のベースとなってしまい、提示された状況への素直な疑問が生まれずに、「王様は裸だ!」と指摘なぞできなかっただろう。
     「大嘘ついても小嘘はつくな」が創作の基本。
     「神は細部に宿る(byミース・ファン・デル・ローエ)」な『風光る』の読み進めに期待☺️
 「神は細部に宿る」の発言者にも諸説ある。

                             (2022/01/16)


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