4月27日(金)公開『君の名前で僕を呼んで』日本版本予告
☆・・・私は恋愛対象を女性にしか感じられなくて、多分、死ぬまでそうだろう。
この作品は同性の恋愛を描いている。
自分の恋愛をそのまま、同性に移しかえてみて観ることは出来ようが、それでゲイの恋愛を理解できるかというと、そういうものでもないのかも知れない。
が、私は、エンディングでウルッと来た。
親に大学の考古学教授を持つ少年エリオは、夏のバカンスで、家族と北イタリアの別荘に来ていた。
夏の間だけの人間関係が、その田舎町にはあり、自然の色彩に彩られていた。
そこに、父親に師事する青年オリヴァーが、ともに、ひと夏を過ごすためにやって来た。
外見上、全く嫌みのない青年だ。
エリオは、なんかオリヴァーが気に食わない。
ダンスパーティーでは、エリオが懇意にしている女性にキスなんかしたりするし、言葉や行動が妙に冷たい時もある。
が、その一挙手一投足が気になる。
自転車で街に繰り出すオリヴァーの姿を、いつも目で追っているエリオがいた。
反感→興味→観察→そして・・・。
後からわかるのだが、エリオには、その素養があった。
そして、オリヴァーも、ローマ帝国の遺物の、特に男性像を研究していたこともあろうか、男の肉体に美しさを感じるタイプのようだった。
いや、もとからそうで、男性像云々は、オリヴァーの指向を暗喩している演出だ。
二人は、お互いを求める。
オリヴァーもエリオも、美青年・美少年なので、そのキスや抱擁は、普通に綺麗。
女性が見たらたまらないのではなかろうか?^^;
それまでの経過が、田舎町の情緒や、家族や友人とのつきあいの中で、いたって自然に描かれているので、淡々と心に響く。
全てがリアルで、ゆえに、二人の恋も現実感をもって、見ているこちらに突き刺さってくる。
ゆっくりと、着実に、夏の終わりは近づいていく。
円満に別れ、恋の再開に思いをはせて生活するエリオ。
オリヴァーから連絡が来る。
その報告を受け、エリオはもの想う。
カメラは、その表情の変化を長回しで捉える。
エリオの頬を涙が伝う。
私の目にも涙がたまった。
このシーンは、ゲイを広言しているガス・ヴァン・サント監督の『永遠の僕たち』のラストを模しているのではなかろうか?
(2018/07/09)