『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』予告編
☆・・・スピルバーグの硬派系の作品で、さりとて、こっちラインも、スピルバーグはお手の物で、けれんなく、堅実に物語は進む。
ベトナム戦争の政治的な負の「真実」を知った新聞社の、社の存続を揺るがしかねなくも発表に至る経緯の物語。
ここで言っておくが、私は「真実」よりも「事実」が大事だと思っているので、この作品の流れの中では、新聞社の判断が英断のように語られているが、必ずしも100%正しかったとは思っていない。
世の中の事例には、正しき政治的な判断も多いからだ。
が、この作品内での「マスメディア的な正義」が、そのまま「事実」ではあるのだろうが(私には分からない。だが、うのみにはできない)、この作品を見て、日本のマスコミが、「事実」ではないことを「真実」だと、自分らの偏った正義を振りかざすように影響されるのはやめて欲しいものだ。
話を戻すが、現在では携帯電話が一つあれば容易な情報の確保・複製・運搬が、それぞれ、なかなかの大冒険となっている60~70年代の物語、時代のギミックも興味深い^^
惜しむらくは、登場人物が多く、トム・ハンクスさえもリアルに埋没していたほどで、たまに、こちらの登場人物への認識が追いつかず、「あっ、これは誰だっけ?」と思うことがしばしば。
だけど、そういった複雑さが、物語の奥行きを加えることがあるのは、スタンリー・キューブリックの言ったところの「魔術」として理解している。
(2018/03/31)