☆・・・淡々と根源的なテーマを投げかけてくる作品であった。
1930年代、スウェーデンの先住民族サーミ人はゆるやかな差別を強いられていた。
少女エレは、おそらく政府の政策であろう最低限の教育を受けるべく妹と寄宿舎に入れられる。
厳しい、どこか人としての尊厳を傷つけられる教育、村の若者からの奇異な視線。
だが、そこでは、向上心のある優秀なエレは進学を希望するが、サーミ人の立場では、それ以上の学究はかなわない。
いや、エレは、自分の一族に倦み、一族外の世界に憧れていた。
かくして、彼女は、民族衣装を脱ぎ、教師の服を借り、スウェーデン人の若者のダンスパーティーに出かけていくのだった・・・。
民族の、異文化の相克の物語と同時に、これは思春期の少女の、大きな社会への渇望の思いの物語である。
女性ならば誰しも、いや、男の私でさえも、新しい社会を目の当たりにすると「背伸び」の思いが生まれる。
エレは、それを成し遂げることになるが・・・。
(2017/10/18)