☆・・・私は、たまに「10年に一度の傑作」と言う言葉をよく使うが、名作は数あれど、そういう場合は特に、物語に「大きな時代の転換点」が付随されたものを言う。
これまでの作品では、『アポカリプト(メル・ギブソン監督)』『ブラインドネス』『インターステラー』などを挙げる。
フランス映画などは、個人の真理への深みはあれど、私的には「10年に一度の傑作」とは言えない。
この『メッセージ』は、「10年に一度の傑作」としての歴史が描かれ、なおかつ、フランス映画風の個人への深い洞察が描かれている。
ハードSFであるが、母としての、「失った娘への想い」からはじまる物語は、全編を女性的な柔らかさが覆う。
突然、世界中に、巨大なUFOが現われる。
クラークの『幼年期の終わり』から、米テレビドラマ『V…ビジター』、そして、『インデペンデンスデイ』の系譜に連なる偉容の物体だ。
クラークの作品では、人類を静観していたが、この作品の異星人は、人類からの干渉を受け入れる。
だが、糸口のないコンタクトに、アメリカ政府は、言語学者のルイーズを招聘する。
学問で名を成しているとは言え、未知の相手に恐怖を禁じ得ない主人公。
異形のUFO。
オーバーテクノロジーの重力変換。
異形の異星人。
手に負えない声音言語。
かつて見たことのない文字言語。
地道に繰り返されるコミュニケーション。
昼夜問わない研究の中で、ルイーズは、「過去」の娘との生活を何度となく思い出し、その記憶が異星人とのコミュニケーションのヒントを経ていくのだった。
(しかし、ゴジラのような単体災厄ならば戦争もありなのだが、今回の、明らかに科学力が数段レベル上の、しかも背後に文化文明が見える種族に、その侵略行為も受けていないのに、なぜに、武力で挑もうとする発想が起きる勢力が現われるのか・・・^^;)
・・・全てを受け入れたルイーズは、世界の平和と、そして、個人の悲劇に至るのだった。
悲劇は、リザルト思考においては悲劇のままであるが、プロセス思考においては、必ずしも「悲劇」のままではない・・・。
話変わるけど、極上の美幼女・美少女が出演してます。
(2017/05/19)