☆・・・「ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」の感想の追記。
いつも割と戦争などをして殺伐とした側面もある映画版長編だが、感心したのが、今回は、冒険を主体としているのに、人格のある敵と言うか、悪が出てこないのだ。
あくまでも「平和への障害」的な存在は出てくる。
「ドラえもん」は、藤子・F・不二雄の意図とは別に、朝日新聞の思想の具現化の一面もある。
北朝鮮による拉致事件が白日の下にさらされて以後(今世紀より)、朝日新聞や社民党・共産党などの政治思想は全く信用がされなくなるが、
「ドラえもん のび太と雲の王国」の頃(1992)は、その、国民を拉致されながら、国土をかすめ取られながらの「人類仲良し能天気」の思想は絶好調だった(「のび太とアニマル惑星(プラネット)(1989)」とともにエコロジー臭も強い^^;)。
バブル経済の残滓に酔っていた。
「のび太の雲の王国」が出来る前に、藤子・F・不二雄は「今回の映画版には敵が出てきません」などと語っていたのだ。
が、映画「雲の王国」が出来ると、やはり、そこには地上人浄化をはかる天上人が敵として現われるのだった。
朝日新聞的な思想が、例えマンガであっても実現できないという具体例だった。
だが、朝日新聞が積極的に作品に、自分らの思想を乗っけようとした時代はおさまり、今回、「南極カチコチ大冒険」において、「冒険を描いているのに、悪の出てこない映画版」が実現されたのだった。
閉鎖空間での物語としては、悪の出ない映画版長編としては「のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)」が先行している。
(2017/03/14)