☆・・・う~む、これも傑作!
アニメ界には、今、大きな地殻変動が起こっているのかも知れない。
若手監督たちが大攻勢をかけてきている時代だ。
この作品、現代版『人間失格』にもなり得た。
が、高度情報化社会は、主人公が高校生にして再生を為し得させた。
まんざら、現代の、インターネットに代表される簡易コミュニケーション社会も捨てたもんじゃない。
時代が違えば、この問題は長引いたはずだ。
・・・聴覚障害の少女が転入してきた。
主人公の少年は興味をいじめの形でしか表わせなかった。
クラスメイトである周囲の児童も、一抹の良心とともに、イジメに荷担する。
5年後、主人公は自殺願望を抱きつつ、聴覚障害の少女と再会する。
いつしか、両者の想いは「恋」に変わる。
クラッシュ&ビルド。
外界を拒絶していた主人公の周りに、心を通わせる人々が集い始める。
が、一緒に観ていた彼女が言った。「徹底的にテーマを語り尽くしているよね」
物語は、主人公を取り巻く人物たちに、それぞれの「過去」との対峙を余儀なくさせる。
過去と向き合うことは、傷口をえぐられること。
主人公は、五年間、それで悩みぬいてきていた。
クラッシュ・アゲイン&ビルド・アゲイン!
かなり物語的に深度を湛えた作品。
惜しむらくは、作中に、大人の男が一人も出てこないことだ。
イジメを傍観していたような男性教諭ばかりでなかったら、もっと異なる展開になっただろう。
また、都合2回、口論だけでない取っ組み合いのケンカが起こるのも現実的だ(幼少の主人公対ヒロイン。ヒロインを責めた同級生の女対ヒロインの母)。
話せば分かる的な、左翼な主張を唾棄する現実が描けていた。
素晴らしい作品だった、じっくりと泣いた。
だが、ハッピーエンド!
それから、私はショートカットの女性が大好きだが、髪をアップにした女性にもグッとくることが、この作品でわかった^^
(2016/09/17)