☆・・・私は大の本格ミステリ作家・島田荘司ファンであり、名探偵・御手洗潔ファンである。
もう、島田荘司の主張が左掛かって強引だろうと、その作品が好きな気持ちは変わらない。
だから、この初映画化、もの凄い期待して、彼女を伴い、彼女に御手洗シリーズの魅力をレクチャーしながら映画館に向かったものだ。
が、一抹の不安があった。
この「星籠の海」、シリーズの中では、イマイチの出来なのである。
この作品は、シリーズを通して見てきたファンだけが、「まあこんなのもありかな^^」と許せるような作品でもあった。
果たして見る。
玉木宏は、原作を読み込んだらしく、非常にうまく変人でもある御手洗潔を演じていた。
ふてくされたような表情などは最高^^
映画「相棒」シリーズなどを監督している和泉聖治監督も、膨大な原作をうまくまとめつつ、舞台となる広島は福山市の魅力をうまく伝えていた。
が、やはり、そもそもの原作と、幾つかのアレンジがよろしくなかった。
いや、冒頭の、御手洗を訪ねてきた出版社の女性が、御手洗のホームズ張りの推理にさらされるとこなんて良かった。
つかみはオッケー!
が、とある家族を、とある意味に見立てた残酷な場面などは、御手洗の出した答えに、「そんなのわかるかッ!」と思わせられた^^;
これは原作を読んでも思ったのだが、一連の赤ちゃんと麻薬のからくりなどは、まだるっこしくて、どーでもよくなる。
そもそも、本格ミステリーとは、全ての謎が、終盤、一つのトリックに収れんされて、
読んでいる・見ている者の心が、いや応なく、エクスタシーを迎えさせられるところに、その醍醐味がある。
この原作は異質だった。
ちょろちょろと謎が明かされていく展開よりも、
序盤の「時計仕掛けの海の謎」を、クライマックスに解き明かされる謎に持ってきても、私たちは満足したと思う。
私としては、この御手洗シリーズとして続くのを期待するのだが、一作目がこれではシリーズ化はきつい。
あるならば次回は、「斜め屋敷の犯罪」か「異邦の騎士」が分かりやすいかと・・・。
(2016/06/11)