☆・・・私は、ウォシャウスキー姉弟監督の作品は『マトリックス」はギャグにしか思えず、『スピードレーサー」は論外で、『クラウドアトラス」がぼちぼちの認識でしかなかった。
この『ジュピター」も、金がかかってそうだし、そこそこ楽しめるかな? の印象だった。
が、衒学めいたことをせずに、画面に情報を詰め込みつつ、娯楽に徹していて、なかなか面白かった。
アクションは激しく、長時間続く。
大家族で貧しくハードに働いている毎日のジュピターは、実は、そのDNAが宇宙を統括する種族の女王のものだった。...
かくして、彼女を求める、ナントカ星人の権力者富豪三姉兄弟の争奪戦が始まる。
そこに、彼女を守る一匹狼の戦士ケインの姿があった!
深みはないが、その星人の文化の意匠は、煌びやかだがゴシック調で、私はデビット・リンチの『砂の惑星」を思い出せて懐かしかった。
ジュピターの転生の話は、なんか、ダライ・ラマっぽかった。
ジュピターは、いちお、三姉兄弟を巡る。
そこここで、ちゃんとヴァラエティに富んだエピソードで飽きさせない。
王族復帰申請への御役所手続きの散漫さエピソードも面白い。
これって、黒沢明の『生きる」へのオマージュでしょ?
ただ、戦士が王女を間一髪で助ける展開が二度続いたのは頂けない。
三姉兄弟は、その民族の権力者だが、やはり王族の正統性には敬意を払わなくてはならず、また、連邦軍と言う警察機構も別の権力としてあるのがちょいと面白い。
連邦軍は、その大富豪の姉兄弟にも警察権力を行使するのだが、最後の第一王子による、ジュピターの家族誘拐による、ジュピターへの取引に際しては、連邦軍 問題視しないのが物語的におかしかった。
木星の都市への捜査もなく、結局、切り込みはケイン一人に任せっきり、ケイン一人の活躍で、木星都市が崩壊してしまう^^;
(2015/04/02)