☆・・・今日は、日曜日の昼間の営業が、一年で一番忙しい日であることは分かっていた。
横田基地のマラソン大会だ。
七夕祭りもフェスティバルも食べるところはいっぱいある。...
が、マラソン大会では、別に食べる場所はない。
大会後、参加者は腹を満たすために、牛浜界隈の「ハングリー難民」と化す。
この日だけは、夜営業だけの飲食店も、昼間 開店すべきなのに、と思っている。
私の店は、既に二年越しの予約客で満席となった。
予約してくれたのは、バレエ教室の先生もやっている兼ランナーグループだ。
この方たちは、いつも、大いに食べ飲んでくれる。
二時半からの三時間で、いつもの三日分の売り上げを記録して、私は嬉しかった。
・・・事件はとどめのアマトリチャーナを作っているときに起こった。
グラスを取ろうとして、手を滑らして、グラスを棚で叩き割り、右手の人差し指をザックリと切った。
グラスが割れる音響に、お客さんは「平気?」と口々に心配する。
もう、キッチンカウンターの中は、グラスの欠片と、滴る血で凄いことになっている。
が!
私は、「全然、大丈夫です!^^」。
お客さんたちの盛り上がりを損なってはならない。
指は・・・、曲がる、傷はそれ程深くない、・・・イケる!
そして、輪ゴムで、右手人差し指の付け根を縛り、血を止め、アマトリチャーナを完成させるのだった!
夕方になり、お客さんが帰った後、机の上には、食べ終えた食器がそのままで、私は茫然とした。
カウンター内も、グラスの破片が飛び散っているので、全部 洗ったり清掃したりしなくちゃならない状態だった。
そもそも、血を流すことに慣れていないので、なんか身体がだるかった。
ナカジ君が来店してくれたが、「これこれこうで、今はサービスがでけん」と済まないと思いつつ帰って貰った。
ミヤキ薬局に行き、HG(ハイグレード)なバンドエイドを買い、傷口を塞ぐ…、が、バンドエイドを巻いたら、その圧迫感でブシャーッ! とナシ汁みたいに血が噴き出た。
「ウギャ! 傷口が開いた!」
一時間後、どうにかこうにか、店内は原状回復した。
<消火器破裂事件>の時のビビさんを呼んで、片付けを頼もうと思ったのだが、ビビさんはまだ仕事中であった。
自分でゆっくりと行なった。
数組、お客さんを断わらなくちゃいけなかったのは口惜しかった。
と、そこへ看護婦さんのモーさんが来た。
私は多くの血を失い、なんかボーっとしていたのだが、言葉の使い方を間違っているのは承知で、看護婦さんが来てくれたことでの「プラシーボ効果」が起こり、なんか、身体が楽になるのだった。。。
(2015/01/18)