☆これまで何度も語っていることだけど、私は、時間ループネタの小説を書いたことがある。
世に色んな時間ループ題材の作品があり、最近では「まどか☆マギカ」が心に残っているが、この『オール・ユー・ニード・イズ・キル』も、きっちりと作り上げられた傑作と言えよう。
私が書いたものは、1993年のカンボジアを舞台にしたもので、ポル・ポト派の残党がアンコール遺跡のある街に襲い来て、大殺戮が起こる中、「たった一つの冴えたやり方(答え)」を求めて、同じ一日を何度も繰り返す日本人少女の話。
その女の子は、あくまでも脇役に過ぎないのが斬新だったし、「まどか」を先取りしていたかな・・・。
で、この『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は、戦争の渦中を舞台にしたもので、エイリアンからの侵略大戦争を、それでも力が少ない二人の男女が、どうにか勝利に導こうと時間を繰り返し試行錯誤する物語。
この作品は、それまでの「まどか」や「恋はデジャブ!」「ジョジョ:第四部」「うる星やつら:ビューティフル・ドリーマー」『ミッション:8ミニッツ』『シャッフル』『ガチ☆ボーイ』とは、そのモチーフが違うような気がした。
これは、まさに、テレビゲーム時代のセーブ・リセットの流れから生まれたものだと感じた。
手触りが、先行した時間ループ作品とは異なるのだ(まあ、『代紋TAKE2』のオチみたいなものかな^^;)。
故に、オリジナリティが感じられた。
また、この作品には、トム・クルーズが、『オブリビオン』から通したテーマ性があった。
それは、愛の物語であり、
愛とは、『「本人の揺るぎない思い」こそが第一義である』ということだ。
今作においては、時間を戻せるのは、作中のタイムリーな流れの中では、トム・クルーズ演じる男だけである。
繰り返される数日を、トムはヒロインと何十回と時を過ごす・・・、が、ヒロインはいつもまっさらな気持ち・記憶でトムと出会う。
トムの深い思い入れは、ヒロインには完全には通じない。
『オブリビオン』では、ヒロインが、トム・クルーズ演じる男と愛し合うが、トムは死んでしまう。
ヒロインは、後から知り合ったトムのクローンと、なにやら、恋をはじめそうなエンディングなのだ。
今作でのトム・・・、『オブリビオン』でのヒロイン・・・、逆写しのように、自分の想いを募らせるのだ。
それは、記憶の整合性ではなく、「運命」の巡り合わせの肯定なのだと思う。
日本のゲーム的な物語に、アメリカ人が、合理的ではあるが「愛」を注ぎ込んでくれていた。
ラストカットの、トム・クルーズの万感の涙目が素晴らしかった・・・。
(一つだけ不満)・・・リタは、なんで、自分の能力がなくなったことを知り得たのか? それが分かったときは、もう死んだままのはずだ・・・。
(2014/07/03)