Quantcast
Channel: 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3482

[ストーカーとハラスメント(5:校長先生篇の後篇)]

$
0
0

☆・・・一部の人間は、相手の気持ちを考えず、自分の気持ちを勝手に当て嵌めようとしてくる。

 例えば、この、T子さんへの会社の考えは、あくまでもバイトとして仕事にまい進したいT子さんの考えと真っ向から反している。

 が、会社側は、T子さんの気持ちを勝手に「謙虚」とでも解釈し、「本当の気持ちに素直になりなさい」「あなたにも向上心があるでしょう」と、勘違いのお仕着せをしてくるのだ。

 世の中には、色んな齟齬がある。

 ここでは、バイトと正社員の、それぞれの立場での「こころざし」の違いもある。

 バイトのほうが劣るわけではない。

 バイトはバイトでいる「理由」がある。

 また、会社が、バイトに、バイト以上の作業行動を求める場合もあるし、

 T子さんの場合は、会社がT子さんに多くを求めるのには、正社員にさせたい意図がある。

 だが、T子さんには、そんな気はさらさらない。

 何よりも、主婦業が大切で、旦那はさておき^^; 子供が第一だ。

 また、会社がそこまで求めていないのに、張り切り過ぎるバイトなんてのもいる。

 そこまで、会社は、バイトのあなたには求めていないよ、その頑張りにおいてのミスに、バイトのあなたは責任を取れるのか? ってパターン。

 通常、正社員に対し、バイトは引け目を感じる必要はない。

 だが、正社員になりたいと願い続け、だが、その素養・能力がなく、バイトでいるしかない者が、無責任を垂れ流し、空回りを繰り返している姿は滑稽なものだ。

 つまり、T子さんのパターンと異なり、個人が会社に対し、勘違いをし続けているわけだ。

 で、何が言いたいかと言うと、この場合は「仕事」についてだが、

 これを「恋愛」にして、「個人が社会に勘違いし続ける」ってパターンがあり、・・・それが、ストーカーである。

     ◇

 地元の雑貨屋チェーンのパートだったT子さんは、地元から車で一時間半離れた、府中のショッピングセンター内にある支店の店長に抜擢された。

 休憩時間となり、さて、「ラーメンでも食べよう」とお店を出たら、

「おっ、偶然だね、T子さん」と、年配の男が現れた。

 その年配の男は、かつて、T子がPTA役員をしていた時にお世話になった校長であった。

 とても、親切にしてくれていたのだが、T子が地元の雑貨屋にパートに出てから、同僚が訝しむほどの来店を繰り返し、やや、嫌気がさしていた。

 最初の内は、立ち話などもしていたのだが、それは次第になくなっていった。

 ひとつ思い出すのは、何もなければ、さり気なく流せる、校長の何気ない一言、「僕は、ストーカーする人の気持ち、少しは分かるんだよね・・・」だ。

 ゾゾゾゾゾーッ・・・!

 そんな折、遠距離の支店の店長に抜擢され、

 店長なんて責任ある役に付くのは嫌だったが、数少ない利点の一つが、この校長と会わないで済むと言うことだった。

 ・・・いや、このT子さんには、この校長だけでなく、似たような行動様式のお歴々が周囲にたくさんいるので、ささやかな利点に過ぎない・・・^^;

 そう、ここは、一時間半も離れた場所なのである。

 この校長先生のこれまでの行動を考えると、偶然に会ったとは思えない。

 しかも、休憩時間は不定期なのである。

 今日などは、午前3時の予定が、忙しくて、5時を回っての休憩となってしまったのだ。

 T子さんは、「どうも、こんにちわ」と、校長に頭を下げた。

 自分の表情が固くなっているのは分かったが、とても愛想笑いなど浮かべられない。

「休憩ですか? どうですか、一緒にコーヒーでも・・・」

「いえ、ちょっと、ショッピングセンターの事務所に呼ばれてるので・・・」と、T子は嘘をつき、校長から去るのだった・・・。

 あああ、ラーメン・・・! お腹減ってるのにぃぃぃ・・・!

 T子は、どうしても、自分の休憩時間と同時に校長が現われたことが気持ち悪かった。

 答えはすぐに出る。

 どこからか店を見ているのだ。

 T子を見ているのだ。

 T子は確信し、店の中から、外のぐるりを見渡す。

 答えは簡単、店は、やや奥まっているが、近くにはフードコートが広がっているのだ。

 その広大なフードコートから、T子を監視し、T子が休憩と見るや、校長は出張ってくるのだ。

 そんなことが数回続き、さすがに、温和なT子も堪忍袋の緒を切らし、出来る限りの怒りの形相で、キッ! と睨み、校長のもとを去るのだった。

 ・・・ふう、これで、来なくなるだろう・・・、T子はホッと胸を撫で下ろす。

 が!

 数日後・・・、

「やあ! T子さん!^^」と、満面のイノセントな微笑みを湛え、校長はやってきた。

 ・・・ストーカーとは、自分に都合の悪い記憶は、都合よく忘れ去り、自分の気の赴くまま、進撃してくるのだった・・・。

                                                   (2014/06/08)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3482

Trending Articles