☆なかなか面白かったです。
長崎が舞台だったのだが、『横道世之介』の時も感じたのだけど、長崎弁というのは、なんか自然と心の中に染み込んでくる。
親父が福岡出身だったこととも、九州つながりで関係あるのかな。
そんな、私の親父にもやや外見が似ている、ライブもできればマンガも描ける、格好悪いけど、なかなか格好いい「ハゲオヤジ」が主人公(愛称:ペコロス)で、その主人公の、ボケはじめた母親との生活の話。
最初は超ゆるーく、赤木春江演じる老いた認知症の母親との、それ故の惚けたエピソードが語られていく。
そして、時折、母親の半生がカットインされる。
戦時中や原爆、赤線や貧困など、時代を彩るうまいキーワード処理が為されている。
過去編では、原田知世と原田貴和子の姉妹共演も面白い。
また、母親の幼少期に美少女が、おかっぱ・ツインテール・三つ編みと、わらわらと登場するのも良かった。
幼少期のペコロスがどうにも嫌いになれず大好きな、いい加減な親父役の加瀬亮もいいすね。
母親は認知症を深くしていき、グループホームに入ることになる。
ここがまた、南国の気性でしょうか、辛い面もあるのでしょうが、明るく語られていく。
ヘルパーさんが可愛い。
方やショートカットの長澤奈央と、とてもマイルドな松本若菜、どちらも魅力的だ^^;
どちらかなんて選べないよ!!(←バカ) もう恋なんてしないなんて言わないよ 絶対!!(←大バカ)
娼婦役のサヘル・ローズも1シーンだけど印象的だった。
さて、物語の終局において、母親は、皆とはぐれた長崎ランタン祭りの会場で、悲しい死別をしていた者たちと邂逅を果たす。
私は、たけしの『座頭市』のエンドロールのカーテンコールや、先ほども名前が出た『横道世之介』のクライマックスでの過去と現在の交差演出というものが大好きなので、
メガネ橋の邂逅にはじんわりと感動した。
その様をペコロスが写真に収めるのだが、ペコロスの撮った写真には、母親の姿しか映っていない。
ここは、その幻想が現実に侵食していても良いのにと思った。
だが、その後、さらに、公園を、母親の乗る車椅子を押すペコロスのシーンがあり、その横を、生まれたばかりのペコロスを乳母車に乗せる母親がすれ違うという、過去と現在の交差演出もある。
竹中直人の演技も含め、抑制の利いた良作だ。
(2014/02/10)